アフリカ大陸中央部、赤道付近の河川や湖沼に棲息する、陸棲生物ではゾウに次ぐ大きさを誇る大型ほ乳類です。
日中の大半を水中で過ごし、夜になると陸に上がり草を食べます。カバは基本的に草食性で、消化の悪い草をたくさん食べるため三つの胃をもちますが、ウシのように反芻はしません。
潜水時間が大人で4・5分と長時間潜ることができ、さらに鼻と飛び出た目、耳が一直線上に並んでいるため、それらの部位だけを水面から出すことで辺りの様子をうかがうことができます。また、水よりもわずかに比重の重い体、水かきのある足で、水底をふわふわと泳ぐように歩くこともでき、水中生活に非常によく適応している動物といえます。
カバの皮膚はとても弱く、水がないとすぐにひび割れてしまいます。よく言われる「血の汗」とは、汗腺をもたないカバが皮膚を乾燥やバイ菌から守るために分泌するピンクの分泌液のことです。これによってカバは、紫外線や直射日光、水中の雑菌から皮膚を保護しているのです。
カバは通常20〜30頭の群れをつくり生活しています。群れを統率するオスは、自分の糞を撒き散らす「まき糞」と呼ばれる行動で自らのナワバリを主張します。争いは頻繁には起こりませんが、メスをめぐる激しい獲得競争で、時として命を落とすオスもいます。
野生では大人のカバの天敵はおらず、まさに水辺の王者と呼べる動物ですが、近年その数を減らしつつあるのが現状です。原因のひとつはやはり我々人間の影響によるものです。長く内戦が続いた地域では、保護区である国立公園に武器を持った人間が立ち入り、カバを密猟することが後を絶ちません。カバの牙は象牙の代替品として使われています。(2006.9) |