南米、アマゾン川の最深部、水没林と呼ばれる水びたしの森に棲息する猿。水没林とは、雨季に氾濫したアマゾン川にのみ込まれ、まるで沼から木々が生えているような、水で埋め尽くされた森のことをいいます。ウアカリは古くからその存在は知られていましたが、研究はあまり進んでいない謎の多い猿です。
雑食性で、インカ(マメ科の植物)の実などの種子や果実、昆虫などの小動物を食べますが、主食のほとんどは木の実です。通常、10〜30頭の群れで過ごし、2年に1度、1頭の子どもを産みます。群れを統率するリーダーは存在しません。成熟した雄の顔は、より鮮やかな深紅色になり、頭頂部が顕著に禿げ上がります。他の霊長類(リスザル、サキなど)が、ウアカリの群れと行動を共にすることがあります。これは「混群」と呼ばれ、用心深いウアカリと行動を共にすることで、外敵から身を護っていると言われています。
その姿があまりに人間と似ているため、本来猿を捕って食べる習慣を持つ原住民の中には、ウアカリだけは決して食べないという民族もいます。(2005.3) |