オナガザル科に属する大型の霊長類です。英名「Mandrill」の「Man」は「ヒト」、「Drill」は現地の言葉で「ヒヒ」を意味します。
類人猿などと同じく昼行性で、主に地上で暮らしており、野生では行動している時間帯のほとんどを餌を求めて移動しているようです。そうした理由もあって、観察するのが難しい種類であり、生態に関しては、飼育下での研究はすすんでいますが、野生ではまだまだ不明な部分が多い種です。
マンドリルは集団で行動し、通常20匹程の群れを形成します。かつては一匹のボスであるオスが多くのメスや子供による「ハーレム」を形成していると言われていましたが、最近ではボスの他にも何匹かのオスが群れの中にいることがあることもわかってきました。群れのオスの中でもひときわ鮮やかではっきりした顔立ちをしたオスがリーダーとなり、群れを統率します。派手な赤い鼻筋の両側には、明るい青色で縦ジワの走る独特のヒダがあり、更にお尻も顔と同じように紫がかった鮮やかな色をしています。これらはメスへの強いアピールになり、また、木の生い茂った暗い森の中で、仲間に自分を見つけやすくするためであるとも言われています。食物は基本的に植物中心ですが、果実、種、根やキノコなども食べます。時には昆虫や小動物なども獲物にすることがあり、雑食性です。
現地では「ヒトに近いサル」として敬われていますが、地域によってはマンドリルを食べる習慣を持つ人々がおり、近年では商業目的の狩猟も増えています。また、開発による生息地の減少や分断で個体数は減少傾向にあり、絶滅危惧種に指定されています。(2004.11) |