日本固有種で世界最大の両生類です。1952年に国の特別天然記念物に指定され、また、その棲息地も天然記念物として指定、保護されています。
オオサンショウウオの仲間は世界に3種現存しており、他に中国のチュウゴクオオサンショウウオ、アメリカ・ミシシッピ川流域の一部にのみ棲息するアメリカオオサンショウウオが知られています。日本のオオサンショウウオはオオサンショウウオ科の中でも最大種です。オオサンショウウオの仲間は、約3000万年前からほとんど姿を変えていない、たいへん貴重な動物です。
オオサンショウウオは、一生を水中で過ごし、陸にあがることはほとんどありません。成熟した個体に天敵はなく、清流の生態系の頂点に立ちます。目の前を通りすぎるものにはなんにでも食らいつく大食漢です。よく探さなければ見つからないほどの小さな目は、視力があまり良くないため、獲物は専ら鼻や皮膚表面の感覚器を頼りに捕らえます。自らすすんで獲物を捕獲するため動き回るのではなく、岩陰などでじっと獲物が近づくのを待ち伏せます。体側の発達したヒダは、より多くの皮膚呼吸をするため役立ちます。また、頭部のイボ状突起をつつくと独特の刺激臭をもつ白色の粘液を分泌します。
繁殖期が近づくとオスは川を遡上し、川岸のくぼみや穴などで巣穴になるような条件の良い場所を探します。強いオスほど、好条件の巣穴を確保することができ、やがてやってくるメスを受け入れる準備をします。その間、他のオスが巣穴に近寄ろうとすると、撃退します。時には激しい争いとなり、命を落とすオスさえいます。8月末から9月初めにかけ、下流からメスがやってきて、強いオスが守り抜いた巣穴へ入っていきます。この時、巣穴の外に集まった他のオスたちも、メスの後から一緒に巣穴の中へ入りますが、何故か巣のヌシはこれを追い払おうとはしません。やがてメスが産んだ卵に巣のヌシと他のオスたちが一斉に放精します。これは血統が濃くならないための生き残り対策だと考えられています。メスや他のオスが巣穴から出ていった後もヌシは巣穴に残り、抱きかかえるように卵を守ります。卵は約40〜50日で孵化します。時折、新鮮な空気が行き渡るよう尻尾を振るなどして水を入れ替えながら、幼生が巣立つまでヌシは子どもたちを守ります。
オオサンショウウオは別名「ハンザキ(ハンザケ)」という名でも知られますが、これは身体を半分に裂いても生きているという言い伝えによるものとされています。また、口を大きく開けた様が、半分に身体が裂けているように見えることからきているとも言われています。(2004.9) |