沖縄本島北部の山地にのみ分布する日本最大の甲虫です。1983年に新種として発見され、1985年には国の天然記念物に指定されました。
近縁種が台湾、東南アジアに広く分布していることから、沖縄諸島がまだ大陸と陸続きだった頃、分布を広げた遺存種と考えられています。
成体になるまで3〜4年を要し、幼虫はイタジイやオキナワウラジロガシなどの大木にできたウロの中で、木質部が腐敗して堆積した腐植物を食べて成長します。3年目の秋、繭を作って蛹化し、羽化した成虫はそのまま蛹室内にとどまり翌年の夏を待ちます。4年目の夏、8月〜9月にかけて出現し、交尾産卵をします。成体の頭胸部は緑がかった青銅色で、上翅には小さな黄褐色の斑点が不規則に散らばっています。♂は70〜80mmもある体長よりも長い前脚をもち、強く湾曲した脚の内側に2本のとげがついています。♂同士で戦うときに、この前脚のとげを相手にひっかけ投げ飛ばします。
もともと個体数が少なく、繁殖力も弱いため絶滅が危惧されていますが、近年、ダムや林道の建設にともなう原生林の伐採で生息地が減少しており、本種の個体数減少に拍車をかけています。さらに、増加を続ける密猟も深刻な問題となっています。(2004.9) |