日本中ほぼ全土で見られるアゲハチョウ科の代表種。一般に「アゲハチョウ」と呼ばれ親しまれています。
アゲハチョウ科の仲間は世界中に分布しており、約550種ほど知られています。日本ではアゲハチョウ科の仲間は他に、ナミアゲハによく似た「キアゲハ」や、「カラスアゲハ」「ジャコウアゲハ」など多種にわたり棲息しています。また、広い意味では小型の「ギフチョウ」や「ウスバシロチョウ」などもアゲハチョウ科の仲間です。
ナミアゲハの幼虫の食草はカラタチやサンショウなどのミカン科植物であるため、人家で栽培されている鉢植えや庭などに、どこからともなくメスがやってきて産卵します。そのため市街地においても頻繁に見られ、馴染みの深い蝶といえます。
雌雄の区別は外見からでは比較的むずかしいのですが、夏型のメスはより大型になる傾向が強いようです。また、ミカン科植物に飛来する個体は産卵のためであると考えられるため、メスである可能性が高いといえます。
卵は1mmほどで薄黄色の球形をしており、孵化が近づくにつれ黒くなっていきます。幼虫は成長と共に劇的に姿を変えます。特に鳥の糞に擬態した2齢〜4齢幼虫から、目立つ大きな目玉模様の入った緑色の終齢幼虫への脱皮は圧巻です。またアゲハチョウ類の幼虫は天敵に襲われるなどの外部から強い刺激を受けると、頭部と胸部の間から臭角(しゅうかく)と呼ばれる半透明のゴムのような1対の角を突き出し、臭いの強い物質を分泌し外敵を撃退します。(2006.6) |