日本に棲息する2科9種のカマキリの中では最大種。緑色型と褐色型が知られています。
やや小ぶりのチョウセンカマキリと似ていますが、後翅の斑点や前肢の内側が淡い黄色であることなどから区別できます。単に「カマキリ」と呼ぶ場合、一般的にチョウセンカマキリのことを指します。
カマキリの狩りは意外に地味で、獲物が寄りつきそうな場所でひたすら待ち伏せるか、風に揺れる葉のように、ゆらりゆらりとゆっくりと移動しながら獲物に忍び寄り捕獲します。
身体の構造は、その大きな鎌を筆頭に、狩りに適した様々な機能で満載されています。鎌には獲物を捕らえて逃がさないトゲが並び、頭は細い首を中心にかなり自由に動かすことができます。また特徴的な大きな複眼は、獲物との距離を正面で正確に測ることができます。獲物が射程内に入るとセンサー(神経)が自動的に働き、瞬時に鎌を繰り出し、正確に獲物を捕らえます。
カマキリは交尾の後、メスがオスを食べてしまうことで有名ですが、実際そのような事が起こることはそれほど多くはありません。カマキリは動くものはなんでも獲物と認識するので、オスが交尾のためにメスに近づく時や、交尾後メスから離れる前に、運悪くメスの射程内に入ってしまった場合、獲物として食べられてしまうことがあるのです。また、同じカマキリの仲間でもひとたび射程内に入れば獲物として捕らえられてしまいます。このような共食いは昆虫の世界では珍しくありません。
メスは「卵嚢(らんのう)」と呼ばれる泡の中に産卵します。卵嚢は乾燥すると発泡スチロールのように軽く丈夫になり、卵を外敵から守ります。ひとつの卵嚢には100〜300個の卵がはいっており、春先、一斉に孵化します。不完全変態で、幼虫は翅がないこと以外は成虫とほぼ変わらない姿をしています。
鎌を合わせゆらゆら動く様が「拝んでいる」ように見えることから、「拝み虫」と呼ばれることもあります。(2005.1) |